以前ブログで「2階建て以下の木造住宅のおよそ80%が構造計算されていない」という話を述べましたが、これにはある特例が関わっていると言われています。それが「四号建築物の特例」です。
今回はこの「四号建築物の特例」を「仕様規定」と「性能規定」と共に述べていきます。
仕様規定は使用すべき構造部材や構造方法などを具体的にルール化したものを指し、3つの簡易計算と8項目の仕様ルールで構成されています。 3つの簡易計算とは、建物にかかる水平力に対して必要な耐力壁の量を満たしているかどうか調べる「壁量計算」、建物を四つに分割し壁の量を比べる「四分割法」、実際に生じる引張力を簡単な計算で確かめ柱の柱頭柱脚の接合方法や使用する金物を選定する「N値計算法」のことを指します。 8項目の仕様ルールは、「基礎の仕様」、「屋根ふき材等の緊結」、「土台と基礎の緊結」、「柱の小径等」、「横架材の欠込み」、「筋かいの仕様」、「火打材等の設置」、「部材の品質と耐久性の確認」のことを指します。
性能規定は建築物において要求される性能を規定するものですが、仕様規定と違い構造計算で安全が確認できれば決められた部材を使う必要がないため設計の自由度が広がります。近年、仕様規定より性能規定の採用が多くなる傾向になるだろうと見込まれています。
構造計算は地震に強い家を建てる際に必要なことで、鉄骨や鉄筋コンクリートで造られた比較的大型の建物は構造計算が法律で義務化されていますが、木造の建物に関して言うと、ある特例によって日本で建てられているほとんどの家が構造計算されていないことになります。それが「四号建築物の特例」と呼ばれるものです。四号建築物とは「木造で2階以下、延床面積500㎡以下の住宅」を指し、この条件に当てはまれば確認申請時の構造計算書の提出は免除されるというものです。実は日本で建てられている家のほとんどがこの条件に当てはまっているのです。
本来この特例は「構造計算書の提出」を免除し手続きの簡略化をすることで、確認申請がスムーズに進めることを目的に定められたものなのですが、中には「仕様規定のみ満たしていれば構造計算をしなくていい」と勘違いする人もいます。木造の構造計算によって柱や梁などの構造材が増加や専門の設計士への依頼でコストや手間がかかるため進んでやりたがらない住宅会社があることも事実です。しかし仕様規定や性能規定のみでは地震に対する住宅の安全性は担保されないため、家を建てる際は「地震に強い家に住みたいから構造計算をしっかりしてほしい」と伝える必要があります。
地震に強い家を建てようとお考えの際は構造計算と四号建築物の特例について頭に入れておくことをおすすめします。2025年の建築基準法改正によりこの特例の扱いが変わるとのことですが、それは次のブログでお伝えします。