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トルコ・シリア大地震で注目…パンケーキクラッシュとは


はじめに

 皆様は「パンケーキクラッシュ」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。昨年に発生したトルコ・シリア大地震で注目された言葉ですが、あまり耳馴染みが無いかもしれません。今回はパンケーキクラッシュとはどういうものかをについてお話いたします。

 


トルコ・シリア大地震について

 2023年2月、トルコ南部を震源とした地震が発生しました。この地震によって隣国のシリアにも被害が及び、合わせて5万6000人以上の命が奪われました。また、被害に遭った建物は20万棟、自宅を失った人は約1400万人にのぼりました。これだけの被害が出た背景にあるのが「パンケーキクラッシュ」という現象です。

パンケーキクラッシュとは

 パンケーキクラッシュとは建物が1階部分から順にパンケーキのごとく真下へ折り重なるように崩れ落ちる現象を指します。柱が地震によって連鎖的に崩れ、各フロアが隙間なく折り重なるため逃げる空間がなく、建物内に取り残された人たちが命を落とす確率が高くなります。トルコは地震が多い国で日本と変わらない耐震基準があるものの古くに建てられた耐震性の低い家がまだ多かったため、このような現象が起きたのではないかとされています。


発生の原因は?

 では、古い建物だけが被害に遭ったのかというと実はそうではなく、新築の建物も被害に遭っているのです。1999年にトルコで発生した地震により1万7000人以上が犠牲になり、1万3000戸以上の建物が倒壊しました。この地震をきっかけとしてトルコの耐震基準が改正され、新築の建物全てを最新の耐震基準で建てることを義務付けました。
 しかし2022年時点で新築も含めた約670万棟の建物が耐震基準を満たしていなかったと言います。トルコでは行政による耐震チェックが行われないことが多い上、一定の金額を支払えば基準を満たしていなくても設計が認められる「恩赦」という仕組みがあるため違法性の高い建物が増えたのではないかと指摘する声もあります。2000年代から急速に都市化が進んだトルコでは住宅や施設を増やすことが重視され、その代償に防災対策が軽視されて続けてきました。
 今回の地震によるパンケーキクラッシュも柱を除去したり、強度の足りない柱を使ったりして建てられた家が多かったために発生し、被害が大きくなったのではないかと言われています。パンケーキクラッシュによる被害拡大は儲けを優先し地震対策を怠ったことが原因で起きたという厳しい意見もあります。 


日本国内でのパンケーキクラッシュ

 日本でもパンケーキクラッシュが発生した事例があります。1995年の阪神淡路大震災では吹き抜け構造の建物でパンケーキクラッシュが発生しました。この地震を教訓に建築基準法が改正され、壁や柱の強度を高めるなどの対策を強化していきました。日本国内の耐震技術が進化しているということもあり、現在の日本でパンケーキクラッシュが発生することはほぼないと言われています。とはいえ、巨大地震が発生した際でも絶対に倒壊しないとは言い切れないので、これからも対策を練る必要があるでしょう。


まとめ

 トルコ・シリア大地震によるパンケーキクラッシュは違法建築を取り締まらなかったことによる人災だと言えます。遠い国のことだと思わず、日本でもこの地震での悲劇を教訓に地震対策を進めていくことが大事だと言えるのではないでしょうか。

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