ここ数日、千葉県で地震活動が活発になっています。2月26日からの1週間で震度1以上の地震が30回以上発生しており、3月1日には埼玉県と千葉県で最大震度4の地震を観測しました。これは、「スロースリップ」という現象が関係していると考えられていますが、一体どういうものなのでしょうか。
「スロースリップ」は別名「ゆっくりすべり」とも言われており、海側のプレートが陸のプレートの下に潜り込んで引っ張られた後に時間をかけて戻っていく現象です。通常の地震では10秒から20秒かけてプレートが動きますが、スロースリップの場合は長くて数日かかります。ゆっくりと動いている間ひずみは解消されますが、別の場所で新たにひずみが生まれ、それによって小さい地震が発生する仕組みとなっています。
近年スロースリップは巨大地震と関係しているのではないかと考えられています。例えば、東日本大震災でも地震の前にスロースリップが発生していたことが判明しています。千葉県沖は複数のプレートが入り組んでおり、過去に何度もスロースリップが起きています。2018年にはスロースリップが始まった翌月に最大震度5弱の地震が発生しています。今後数か月の間、震度5弱程度の地震が観測される可能性もあるとのことです。
では、今回のスロースリップは今後30年以内の発生確率が70%~80%とされる南海トラフと関係があるのでしょうか。実は南海トラフでもスロースリップが発生しており、地震の発生域にひずみを貯めている状況です。このような状況から関連性はかなりあるのではないかと指摘されています。しかしスロースリップ自体はあらゆる場所で発生しているため、どれが南海トラフ地震に結び付くかを特定するのは非常に難しいとのことです。
スロースリップによる地震に対しても落ち着いて対処できるよう、日頃からの対策が重要です。例えば、家具が動かないように固定をする、食料や生活必需品などの備蓄をしておくなどの日頃の備えをしっかりとしておくと安心です。そして、地震が起きたらどこに避難するかなどを話し合っておくことも地震対策には必要不可欠です。
スロースリップの後に大地震が必ず起きるとは言い切れませんが、全く起きないというわけでもありません。どのような地震でも備えが必要なことは変わらないので、しっかり対策を取るようにしましょう。