建物はなぜ倒壊するのか?地震の脅威は主に3つあります。それは「強い揺れ」「繰り返し」「共振現象」です。
いくら耐震性の高い建物であっても、建物の強度を上回る強い揺れの場合、建物は負けて揺れだしてしまいます。 建物は大きく揺れると、内部の構造が壊れ、ますます弱くなり揺れやすくなります。
建物は何度も繰り返し揺らされることがあります。大地震とその余震でも繰り返し揺らされますし、建物が生涯に何度か地震を受けると、それも繰り返し揺らされたことになります。
初め合板は釘でしっかりと留めつけられています。 ところが地震などで建物が揺れだすと釘穴が少しずつあまくなったり、釘自体が曲がったりします。 繰り返す揺れの影響は、建物の外観を見ていてもわからない、小さな損傷として蓄積することもあります。
地震時に建物の振動に合わせたリズムで地盤が揺れると、建物の揺れが勢いづいて、増幅されます。 これを共振現象と言います。ブランコも、リズムに合わせて力を加えるとどんどん揺れが大きくなります。
実は建物やブランコのような揺れる物体は、初めから“揺れるリズム”が決まっているのです。 様々な要因で決まるのですが、ブランコの場合は“長さ”が変わると揺れのリズムが変化します。 どんどん短くすると早いリズムで往復するようになります。
建物の場合は、「高さ」「重さ」「固さ」などで“揺れるリズム”が決まってきます。 このリズムはその物体が固有に持っている揺れの周期なので「固有周期」と呼ばれます。
たとえ建物の固有周期が分かったとしても、将来どんな周期の地震波が建築地に到達するかはわかりません。しかし、建物も固有周期をもつ以上、“共振”する可能性があることは確かです。そうなると合板でしっかり固めている木造や、コンクリートで造られた建築物でも被害に遭ってしまうのです。これらのことは、いまや想定の範囲であり、共振するかも、『揺れるかも』という想定をすることが、真の地震対策につながるのです。
同じ強さの地震波であっても、揺れの周期の違いで被害を受けやすい建物が変わってくる。