大地震の際、地盤から建物に入るエネルギーは変形と衝撃(応答加速度)を建物自体に与え、建物内にいる「人」「物」に衝撃を伝えます。「建物」「人」の被害を軽減するためには、地震力を力では無くエネルギーとしてとらえ、その一部分である変形のみを小さくしようとするのではなく、 エネルギーをどのように消費し、減少させるかを考えることがとても重要なことなのです。最近では法律もこのような考え方を取り入れるようになりました。
通称「エネルギー法」の告示が2005年6月末に制定され、9月1日から施行されました。 建築物の耐震性能をエネルギー吸収量で評価するもの。したがって履歴吸収型ダンパーを設置した建築物の耐震性能の検証が可能になる。具体的には「必要エネルギー吸収量」】≦「保有エネルギー吸収量」の判定を各層ごとに行う。 現時点では、ダンパーの種類が違う、「保有エネルギー吸収量」の計算方法の未整備などの理由で、GVA工法に対してエネルギー法をもって法律的に評価することはできません。ただし、「建築物の耐震性能をエネルギー吸収量で評価する」という考え方において、GVA工法の性能は評価可能です。この新しい法律とGVA工法は合致しており、有効な考え方です。
基準法は地震力を力と考えて力で抵抗しようと、耐力を高めたものが現在の耐震住宅です。 さらには大地震のときでも建物の倒壊だけは免れ、人が逃げる時間を確保すればその後の建物の倒壊は已むを得ないというように考えられています。地震の入力エネルギーは、建物内での消費のされ方と釣り合いが取れるので、簡単に物理の式で次のように表せます。
地震の際、建物が受ける地震動エネルギーをどのように消費するかによって、どんな被害をどれぐらい激しく受けるかが変わってきます。運動エネルギーとして消費したり、歪みエネルギーとして消費すると建物が激しくゆれたり、構造体に復元が不可能な損傷を蓄積していきます。反対に減衰によって多く消費した場合には被害を軽減することができます。
入力エネルギー = 力 × 変形
保有エネルギー = 耐力 × 変形
力は質量x加速度です。 建物質量は一定の値なので、変形を小さくすると加速度を大きくしてバランスを取ろうとします。建物を変形させないようにするため耐力だけを強くすると、加速度(=衝撃感)が大きくなるのです。 これではやはり、建物を傷めてしまいます。
GVA工法では付加減衰を積極的に考えることで、加速度と変形を同時に軽減します。
入力エネルギー = 建物質量 × 加速度 × 変形 + 付加減衰(GVA)
減衰とはエネルギーを減らして衰えさせる効果のことです。 GVA工法では木造住宅用の振動減衰材としてアクリル粘弾性体を利用して積極的にエネルギーを吸収しています。制震化の意味とは、建物にとって有害なエネルギーを直接処理することによって、加速度・変形をトータルで考え軽減することです。