木造の家を建てるための部材に「筋交い」というものがあります。あまり馴染みのない言葉だと思いますが、実は柱や梁と同じくらい重要なものなのです。今回は筋交いについてお話いたします。
筋交いは柱と柱の間に斜めに入れる木材のことを指します。日本の住宅のほとんどが柱と梁で建物を支える在来工法で建てられています。
在来工法は地震による横揺れや台風による風など横方向からの力に弱いというデメリットがあり、揺れによって徐々に構造内のズレが生じ、最悪の場合倒壊する危険性があります。そこで、筋交いを入れて構造の補強をしておくことでズレを防ぎ、地震による倒壊や変形を防ぐことができます。
筋交いは「片筋交い」と「たすき掛け」の2種類の入れ方があります。片筋交いは部材を斜めに1本掛ける入れ方(下図左)で、たすき掛けは×の形になるように2本掛ける入れ方(下図右)です。
筋交いを入れた壁を「耐力壁」といい、耐力壁の強さは「壁倍率」という数値を使って表します。部材の厚さは1.5cm、3cm、4.5cm、9cmの4種類があり、幅は9 cm以上と決められています。一番薄い1.5cmの筋交いの壁倍率は1.0倍で、3cmのものは1.5倍、4.5cmのものは2.0倍、そして一番厚い9cmの壁倍率は3.0倍になります。さらに、たすき掛けの壁倍率は片筋交いの2倍で、部材が厚くなるほど壁倍率が高くなります。ただし、9cmの筋交いは壁倍率5.0として計算するので、最大の壁倍率は5.0ということになります。 つまり、厚い部材でたすき掛けした耐力壁を多く取り入れるほど家の強度が上がる仕組みとなるのです。
建築基準法では新しく家を建てる際は筋交いが入った耐力壁を使用することが定められており、筋交いの素材、幅や厚さ、取り付け方法や留める時に使う金物などが細かく規定されています。また、建物の耐震性は「耐震等級」と呼ばれる基準で表されますが、ただ筋交いを多く入れただけでは、耐震性そのものは上がっても耐震等級は上がりません。建物全体にバランスよく入れることが耐震性の向上につながるのです。
さらに気を付けるべきことは、断熱材との相性です。筋交いと断熱材の相性が悪いと壁の内部で結露が起き、筋交いが腐敗する危険性があるからです。一般的にグラスウールやセルロースファイバーなどの断熱材が筋交いと相性が良いと言われています。
筋交いを正しく入れることによって耐震性を上げることが出来ます。耐震性をより上げたいとお考えなら、制震ダンパーを取り付けるという方法はいかがでしょうか。当社が取り扱っているKダンパーは国土交通大臣認定の耐力壁で壁倍率3.3倍を取得しています。ぜひ一度検討してみることをおすすめします。