前回のブログで筋交いとは何かについてお話いたしました。
筋交いは家の耐震性を上げるために欠かせない部材ですが、正しく取り付けをしなければ効果を発揮することが出来ません。
今回は筋交いの正しい取り付け方法についてお話いたします。
筋交いを入れる前に、まず梁や桁などの横架材と柱を金具で固定します。ここでしっかりと固定していなければ筋交いを入れた際に隙間ができて緩む恐れがあります。
固定する際は梁金物や柱頭・柱脚用仕口金物を使用します。横架材自体を強化したい場合は、羽子板ボルトや梁継手などで両面から補強しましょう。
材料となる木材を選ぶ時は、反りがなくしっかり乾燥しているものを選びましょう。 もし反りがあると地震による横揺れで変形する恐れがあります。また、乾燥していない木材を筋交いに使用してしまうと、後々乾燥した時に縮む恐れがあります。
主に使われる材料は、十分な強度があるヒノキやスギ、粘りのあるベイマツなどです。 使用する木材を決めたら、柱、梁、筋交いを3つの辺に見立て、三平方の定理を用いて筋交いに必要な長さを導き出します。
この時、筋交いに切り込みを作ってしまうと引張力や圧縮力の伝達が出来なくなり、本来の耐久性や耐震性を発揮できなくなる恐れがあります。
作業者が二人の場合は、柱と梁で出来た空間に筋交いを当て墨付けしてから端を山型にカットして筋交いを作ります。
作業者が一人の場合は木材の中心に線を引き、「さしがね」という直角の定規を木材に当てながら作っていきます。
作成した後は筋交いの上の端を梁に合わせ、掛矢という大型の木槌で下の端を叩いて入れていきます。下の端はあらかじめカンナで角を取っておくと良いでしょう。
筋交いを叩いて入れる際は、どちらか一方を叩きすぎると外れやすくなるため上下交互に叩きましょう。また上の端を最初から奥まではめこむと下の端に筋交いが入らなくなるので注意が必要です。
筋交いは力が逃げるような向きに入れましょう。例えば2階建ての片筋交いの場合、横から見ると天井から床に向かって、2階は「V字」1階は「ハの字」になるように上下階を反対方向に入れると良いです。
筋交いを入れたら金物を使って上下を固定します。固定用の金物はプレート型、ボックス型、2面施工型などの種類があります。 プレート型は柱の側面に固定する金物です。
土台に用いられるホールダウン金物との干渉を防ぐため、リフォーム工事などで採用されることが多いです。 ボックス型は横架材に用いる金物です。筋交いと柱、横架材の3点をしっかり固定できるのが強みです。
2面施工型は筋交いと柱を接合するタイプで、ホールダウンや柱頭・柱脚金物との干渉を防ぎます。 もし固定力が高いものが必要であれば、1.5倍や2倍の筋交い金具を使用しましょう。
筋交いはただ入れればいいというわけではなく、強度を計算しつつバランスよく正しく入れることが大事です。
また、筋交いの他にも制震ダンパーを取り付けると地震に対する強度が上がるので一度検討してみることをおすすめします。