先日アパート建築請負などを行っている大手不動産会社の手掛けたアパートで、界壁の施工不備が発覚して世間を騒がせていました。建築基準法違反となる今回の問題ですが、いったい何が問題なのでしょうか?今回は地震についてのお話ではありませんが、住宅の構造上重要な防火対策について述べたいと思います。
今回問題となった「界壁」とは、比較的大きな共同住宅や長屋の各住戸間に設ける「間仕切り壁」のことです。似たような構造で「防火上主要な間仕切壁」、「隔壁」があります。どの壁も火災の延焼を防ぐための構造規定として建築基準法で定められています。その中で界壁は小屋裏から天井裏にまで達するようにして、各住戸間の延焼防止を目的として各住戸に設置することが義務付けられています。
防火上主要な間仕切り壁とは、学校やショッピングモールなどの大きな建物の小屋裏延焼防止と避難上の安全性を確保する目的があります。
隔壁とは、木造住宅の小屋組み(屋根の内側)部分に関する構造規定です。建築面積が300㎡を超える大きな木造建築物に基本的に取り付ける必要がある壁です。役割は前述の界壁、防火上主要な間仕切壁同様に延焼防止となります。
界壁のもうひとつ重要な役割として防音対策があります。こちらも延焼と同様に建築基準法の規定ですので、法律に則って施工する必要があります。
いかがでしょうか?界壁について少しお分かりいただけましたか?今回の大手不動会社の施工不備の問題は数棟程度で収まらず、少なくとも200棟以上は界壁が屋根裏まで届かないなどの問題が発覚しています。このような人命に関わる不備は絶対にあってはなりません。地震対策としての耐震構造も人命に直結しますので、耐震や制震を採用する際は、その性能だけでなく、施工性などにも気を付ける必要があります。