建物を支えるために必要なものが基礎という構造材ですが、同じような役割で土台というものがあります。今回は建築における土台とはどういうものなのかをお話いたします。
基礎は、建物と地盤を固定し建物の重さを支える構造材です。そして土台とはその基礎の上に水平に設置し建物の骨組みをつなぐ役割を持つものです。基礎はたいていコンクリートで造られているため、木材の土台を介することで建物と接合しやすくなります。 木造建築の場合は原則として土台の設置が建築基準法で義務付けられており、その際にゆるみやズレが生じないよう基礎にしっかりと固定する必要があります。
基礎の上に土台を設けるには、まずコンクリートが固まる前にアンカーボルトという基礎部分と土台部分を接合するためのボルトを埋め込みます。次にアンカーボルトの通る穴を空けた角材を水平に置き、上からナットで締め付けます。これで地震や強風などで土台から上の部材がずれたり浮き上がったりせず基礎と土台がしっかりと固定されます。
また、土台と柱を接合する際にはアンカーボルトを通す穴の他に「ほぞ穴」という穴を土台に空け、「ほぞ」という突起部分をつくった木材の柱をそこに差し込み接合します。この接合が甘いと地震の揺れで柱が抜け建物が倒壊するおそれがあります。
土台に使用する木材に求められるのは耐久性と耐蟻性の高さです。つまり腐りにくくシロアリの食害を受けにくい木材が土台に適していると言えるでしょう。家の土台の部分は地面に近く、湿気の影響を受けやすいため水や湿気に強いことが特に求められます。
近年よく使用されるのはヒノキやヒバなどです。ただし、ヒバは青森特産で流通数が少ない分値段も高額です。ヒノキはヒバに比べて生産量が多く入手が容易で値段もお手頃なのでこちらの方がよく採用されます。
土台として採用する際は「心材」という木の中心部の比較的堅い赤身の部分のみを使います。木の外側の白い部分、通称「辺材」は水を吸う導管があるため水分が多く腐りやすいからです。 この他にも土台用の木材として使用されるのが米ツガという木です。米ツガはヒノキやヒバよりも流通数が多く安価ですが、そのままだと湿気に弱く腐りやすいためシロアリの食害を受けやすいという弱点があります。そのため薬剤を注入して耐久性や耐蟻性を高めることで弱点を補っていますが、薬剤の持続期間や人体の影響などが懸念材料と言えます。
基礎と同じくらい土台も家づくりには重要なものです。湿気やシロアリに弱いと木材がボロボロになるため、地震が起きた時に壊れやすくなります。目に見えない土台の材料にもこだわることで、より地震に強い家に住めると言っても過言ではないでしょう。